突然ですが北鎌倉の東慶寺は縁切り寺です。過去の想いや未練を断ち切るパワースポットとして、女性の1人旅に人気です。今なら淡い紅葉も素敵です。
江戸幕府公認の駆け込み寺「東慶寺」の歴史
北鎌倉駅から徒歩3分ぐらいにある「東慶寺」。ここは離婚をしたい女性が、夫から逃げて駆け込む避難場所、つまり「縁切り寺」「駆け込み寺」として有名です。
東慶寺が縁切り寺として利用されたのは江戸時代か明治初頭まで。当時は女性側から離婚を申し出ることはなかなか許されず、どうしても夫との離縁したい場合は、こうした「縁切り寺」に駆け込んで助けを求めたのです。なんでも「縁切り法」という規則があり、縁切り寺に逃げ込んだ女性に夫は手出しができず、女性は数年の尼さん修業を重ねれば、無事に離縁を成立させることができたのだとか。
江戸時代にはこうした縁切り寺が全国にいくつもありましたが、江戸幕府が公認としたのはこの東慶寺と、群馬にある満徳寺だけでした。東慶寺は全国的にも由緒正しい縁切り寺なんですね。
現代では失恋から立ち直るパワースポット
東慶寺への駆け込みはもちろん現在では行われていません。しかし、元々の「縁切り」の解釈が広がり、現代では女性が失恋後に訪れるパワースポットになっていることをご存知ですか?
好きだった彼への忘れたい想いや未練を断ち切るための”踏ん切りをつけるパワースポット”として、東慶寺の昔からの「縁切り」の効能が脚光を浴びているのです。
本当にここに来て未練を断ち切れるのか?一周りして見てみましょう。
淡い紅葉に静かに包まれる秋
入口の階段を登り、山門をくぐります。
石畳を進むと、
正面に金仏が鎮座しています。パワースポット感が高まってきます。
あたりを見渡すとまだ緑が多いですが、所々うっすらと紅葉が始まっています。
完全に染まり切っていない、緑と赤色が混じり合ったコントラストを楽しめるの今だけです。
本堂のあたりは紅葉が進んでいます。
淡い紅葉と秋空を見ていると気持ちが落ち着いてきて、仕事や恋愛の悩みなんかどうでもよくなってきます。
鎌倉っていいなあ。
次の恋に備えて心に栄養を
疲れた心には栄養を与えないといけません。パワースポットを次々と巡ります。
これは国歌「君が代」にも登場する「さざれ石」です。細かい石、小石の意味で、歌詞では「巌(いわお)となりて 苔のむすまで」と続きます。国家「君が代」は「小さな石が塊の大きな岩となり苔が生えるぐらいの長い間、君(天皇)の代が続きますように」という意味の歌なんです。
なるほど、知らなかった(か習ったけど忘れていた)。
そして、東慶寺最大のパワースポットは石段を上がった先にあります。
東慶寺を開いた覚山尼のお墓です。
その隣には、後醍醐天皇皇女である用堂尼のお墓です。
そして、ずらりと並ぶ歴代尼僧のお墓。
その先には木々に囲まれ静かに佇む釈宗演墓があります。
鬱蒼とした木々に囲まれ静寂に包まれているせいか、このあたりだけ空気が一段と澄んでいる気がします。きちんとお参りをしてエネルギーをもらえそうです。
また、東慶寺は文学ゆかりの地でもあります。境内には歌人や文士の史跡・お墓が多くあります。
様々な時代の文士、偉人のお墓があるので、気になる方は地図を見て探してみましょう。ただし墓前での礼節は忘れずに。
参照元:東慶寺墓苑地図
地図を見るとわかるように、東慶寺の奥の方は木々に囲まれたお墓です。そしてそのまわりは全て山です。それらが一斉に鮮やかな紅葉を迎える様はそれは壮観なのですが、お墓を巡るにはちょっと賑やか過ぎる気がします。今の時期の控えめな淡い紅葉が、疲れた心にはちょうど良く感じました。
まとめ
東慶寺の縁切り寺としての側面をお伝えしました。失恋した人のパワースポットだったなんて、ちょっとびっくりです。どうりで女性1人客が多いわけです。1日のんびり巡ってとても癒やされました。ここは間違いなくパワースポットです。ただし、失恋から立ち直れるかは…わかりません!
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