江ノ島龍口寺で毎年9月に行われる法難会。屋台や派手なイルミネーションの万灯パレードが有名ですが、メインイベントは高所からパラッパラッと撒かれるぼた餅の壮絶な奪い合い!確実にゲットできる時間帯・方法を経験者が伝授いたします。
目次
この記事はこんな人に向けて書いています
龍口寺の人気イベント「ぼた餅撒き」でぼた餅を確実にゲットしたい人。近所の子供たちのジャンプ力に惜敗続きのあなた。今年こそリベンジです!
龍口寺とぼた餅の歴史
派手なイベントで有名な龍口寺で、毎年9月11日・12日・13日に開催される行事「法難会(ほうなんえ)」。その中の最もエキサイティングな催しがぼた餅撒き。節分の豆のようにぼた餅が撒かれ、一般の方がそれを競ってキャッチする!という夏の終わりの隠れた人気イベントです。
まずは龍口寺とぼた餅の歴史をざっとおさらいしましょう。解説を龍口寺公式サイトから抜粋しました。
日蓮聖人(1222~1282)がご入滅(死去)された後、直弟子の日法聖人が、延元二年(1337)に「龍ノ口法難の霊跡」として、一堂を建立し、自作の日蓮聖人像と、首の座の敷皮石を安置したのが、寂光山龍口寺の始まりです。
鎌倉時代後期、日本は内乱や蒙古襲来、飢餓や疫病の蔓延など、様々な脅威に包まれていました。それらを憂えた日蓮聖人(1222~1282)は、『立正安国論』を著し、幕府に奏上しました。
しかし、幕府はこれを政策への中傷であると受け止め、文永8年(1272)9月12日、鎌倉松葉谷の草庵におられた日蓮聖人を捕らえ、斬首するために、刑場であったこの地、龍ノ口へ連行したのです。日蓮聖人が、龍ノ口に連行される途中、「桟敷の尼」が鍋ぶたにのせた黒胡麻の牡丹餅をご供養したという故事に因み、9月12日の朝から講中の人々がお題目に合わせて餅をつき、手作りの黒胡麻牡丹餅(ぼたもち)を、日蓮聖人のおられるご宝前に供えます。
引用元:龍口寺について
龍口寺が建てられた龍ノ口は、もとは罪人を処刑する処刑場。そのせいか、霊感がある(と言っている)知人は龍口寺に来ると息が詰まるのだとか。
日蓮は著した「立正安国論」が政策批判であると鎌倉幕府に咎められ、龍ノ口で処刑されそうになりますが、「江ノ島の方より満月のような光ものが飛び来たって首斬り役人の目がくらみ、畏れおののき倒れ」(日蓮聖人の手紙より)、つまり何だか分からないけど奇跡が起きて、日蓮は処刑されずに済んだのだとか。その故事を盛大に偲ぶ行事が龍口法難会なのです。
なぜ、龍口法難会でぼた餅を撒くのか?それは、日蓮が連行される途中に桟敷の尼(さじきのあま)という尼僧が、黒胡麻のぼた餅を食べさせてあげたことが由来だそうです。
派手なパレード!どんちゃん騒ぎの「龍口法難会」
と、只ならぬ歴史があるので、さぞかし荘厳に行われると思ったら、当日の様子はご覧の通り(昨年2016年の龍口法難会の様子です)。
山門から境内まで一面を、明るい提灯とカラフルなイルミネーションで飾られて、まるで楽しいお祭状態。
近隣には屋台が立ち並び、子供も大人も楽しんでいます。
纏のパフォーマンスや巨大な万灯の行列を見たり、終始派手に大賑わいで行事は進行していきます。
高所からパラッパラッと撒かれるぼた餅!子供が圧倒的に有利な夕方の部
日が落ちて18時頃。イベントはクライマックスへ進みます。奥の本堂では厳かな雰囲気で法要が執り行われます。
前が見えないぐらい混んでいます。
20分ほどで法要が終わると、次はぼた餅を高所にあげてばら撒く準備にかかります。餅を撒く人も周りの人に介添えされながら大変そう。結構高いですから。
今度は餅をキャッチする側もぬかりなく準備にかかります。大人は子供を担ぎ出し、少しでも高い位置で先んじて餅をキャッチする作戦です。
双方の準備が整った18時半頃から、いよいよ、ぼた餅撒きの開始!
宙を舞う餅に無数の人の手が一斉に飛びかかって、餅を弾いたり叩いたり、もの凄い争奪戦が繰り広げられます!それでいて餅が撒かれる時間は短く5分ぐらいで全て撒き切って終了。
ワーッと押し寄せた群衆は、餅が無くなるとサーッと引くように帰って行きます。なんと変わり身の早い。あっという間の餅まきタイムでした。
で、私の成果は…ゼロ個です。残念ながら餅ゲットならず!
敗因は2つ。まずこの夕方18時半の部は、人が多過ぎて餅まきが行われる本堂に全く近寄れないんです!法要が始まる18時にはもう大混雑なので、もっと前の17時頃からスタンバってないとダメみたい。
そして、この時間帯は小さい子供が圧倒的に多く、彼らの小回りの良さ、すばしこっさ、キャッチ力、親の背中を借りたリーチの長さ、そして子供ならではの貪欲さ、どれをとっても大人は子供に適いません!
この子達なんか両手に抱えるぐらい大量のぼた餅をゲットしたようで。なんて羨ましい!
ぼた餅撒きのチャンスは2回!狙い目は空いている深夜零時の部
夕方の部は惨敗でした。でも餅まきのチャンスは2回。まだ深夜の部が残っています。
いったん自宅に戻って休み、深夜零時にまたやって来ましたよ、本日2度目の龍口寺に。
屋台はもう撤収済みで辺りは静か。
夕方のお祭りムードは一切無くなって、深夜は神妙な雰囲気です。
深夜の本堂には既に30名ぐらいの人が集まっていました。深夜なので子供はいません。夕方と同様にまず法要が行われるのですが、皆静かに聞き入って厳かな雰囲気。
小一時間ほどの法要が終わり、夜中の1時頃から餅まきが開始されました。ライバルの子供がいないので、私も難なく餅をゲットできました。
というか人に対して餅の数の方が圧倒的に多いので、終わってみれば1人に3、4個行き渡るぐらいの大漁でした。
深夜なので大人限定ですが、餅を確実にゲットしたい人は、深夜の部が空いていておすすめです。
難除けの牡丹餅をついにゲット!その味・効能はいかに?
念願の龍口寺のぼた餅。故事にならって黒ゴマがまわりに付いています。
年中無難、様々な災難を逃れる効力があり「難除けの牡丹餅」として名高い、龍口寺の黒ゴマ牡丹餅の味はいかに?
黒ゴマの中は味の付いていない普通の白い餅。現代人の我々にとっては決して美味しいものではありませんが、黒ゴマの香ばしさが後を引く素朴な味わいに、不思議とご利益を感じてしまいました。
まとめ
夏の終わりを告げる龍口寺の人気イベント「ぼた餅撒き」。空いている夜中の時間帯に行って、今年こそ黒胡麻餅をゲットしてご利益を授かりましょう!
※2017年9月12日追記 今年も無事にぼた餅をキャッチ!左右で味が違うって本当?
2017年も龍口寺法難会の深夜の部に行ってきました。時系列順に写真でレポートをお伝えします。
残暑が残る蒸し暑い夜。23時50分過ぎ。
今年は例年より人が多い気がします。
24時から本堂で法要が開始。お焼香や合掌など小一時間ほどのご供養が終わると24時50分頃。最後は一本締めで気持ちよく締められ、次はいよいよ餅まきの準備。
天井の梁から吊るされた台に人が上がり、餅を引き上げ、火打ち石の合図で餅の蓋を開けて準備完了。25時頃からようやく餅まきがスタートです!
がっつく子供はいないので、大人同士が時には譲り合いながら、大きな混乱などなく淡々と餅まきは進行します。とはいえ、どうしてもキャッチできなかった人は、前に出て手を差し出すと、スッと餅をピンポイントで落としてくれます。餅まき担当のお坊さんは優しいナイスガイなんですね。
ちなみに、餅の味について地元のおじちゃんから聞いた余談です。餅を撒く吊るし台は左右に1箇所ずつあって、両方から同時に餅がばら撒かれます。この左右の餅の味が微妙に違うのだとか!おじちゃんのおすすめは「左の餅」だそうです。何でも餅を作っている人が左右で違うから、味に違いが出るのだとか。
うーん、食べ比べてみたけど大差無いような… どちらもいつも通り、地味で素朴な味でした。