オフショア開発でインド人に逃げられた!

オフショア開発でインド人に逃げられた!

巷ではオフショアが盛んです。コスト削減のため、日本国内と比べ安い賃金の中国、ベトナム、インドなどアジア諸国に仕事を依頼する企業が増えています。が、そこには恐ろしい罠が潜んでいます。

メールやskypeなどネット環境があれば、世界中の誰とでも仕事が出来るため、わざわざ高い人件費の日本人を雇う必要は無い、といった論調があります。

特にwebやアプリのプログラミングなどは、あらかじめ仕様を明確にしておけば、開発作業自体は共通言語の英語で進められるため、オフショアに向いている、と言われています。

オフショア開発とは、そんなに簡単に行くのでしょうか?

ここでは、実際に経験した本当にあった怖いオフショア失敗例を紹介します。

プログラム開発をクラウドソーシングでインド人エンジニアに格安で依頼

インド人エンジニアに逃げられた
インド人エンジニアに逃げられた

受託開発会社のA社が、あるiPhoneアプリ開発を広告代理店から依頼された時の話です。大手メーカーの新商品のPRイベントで使用するARアプリを開発して欲しい、という案件。

例によって広告代理店が無駄に絡んでいるため、A社に降りてくる予算は相場よりかなり少な目。カメラ越しに販促ポスターを覗くと、商品CGがポンと飛び出る、といった仕様で、言うほど簡単ではありません。メーカーが納得するハイクオリティーな3DCGの作成、UI/UXデザイン、ARアプリ開発、設営、実機検証といった全行程を2ヶ月で30万円でやって欲しいと。少なすぎて反吐が出る予算ですが、こんなものはザラです。

そもそもこんな低予算で貴重な社内リソースを使うわけにはいきません。最初は国内のフリーランスのエンジニアに外注依頼を検討していましたが、予算が合わず困っていたところ、流行のクラウドソーシングサービスを利用する事にしました。国内外のクリエーターを案件を依頼できるマッチングサービスです。

プログラム開発系の仕事は言語障壁が少なく、日本人でなくてもそれほど不便はなく、比較的海外に外注しやすい案件のはずでした。

国内のエンジニアで100万円近くするプログラム開発が、このインド人は破格の20万円で出来るというのです。結局、クオリティー管理が難しいデザイン、画像制作は社内のリソースを使い、プログラム開発部分は、このクラウドソーシングサービスを通じて知り合った、価格的に安くて手ごろなインド人エンジニアに依頼する事になりました。

skypeでHello程度の英語で軽く挨拶を交わし、後はチャットとメールで細かい仕様を伝えます。わからない英語はgoogle翻訳で調べながら出来るので楽ちんです。英語がしゃべれるスタッフがいなくても全然問題ない、はずでした。

料金前払いの大きな罠

社内管理のデザイン部分は順調に進み、インド人に画像素材を渡します。さあ、後はプログラム開発だ。オフショア開発ではよくあるのですが、彼らは基本的に業務開始時に制作費用の半金を請求してきます。残りの半金は完了時。はじめての取引だから、と言って全金後払いを要求したのですが、インド人のまくしたてる英語に辟易し降参。半金を支払い、業務を開始してもらいました。思えばこれが全ての元凶だったとは。

納品1週間前に連絡が取れない

開発は順調に進んでいるはずでした。2~3日おきの進捗確認、質疑応答、時にはskypeで画像を共有し合い修正を重ねていくなど、日本人と仕事をしているのと同じような順調な進行でした。ただ、インド側から予定していた中間データの提出が遅れ、もう少ししたら完成版として提出する、と提案してきた事が気にはなっていましたが。

そして、納品1週間前、そろそろ何らかの確認データをメールで催促すると返事が来ません。時差を考慮して1日待ちますが、まだ返事が来ません。チャットも音沙汰なし。skypeで連絡をするとオンライン上に居ることは確認できますが、応答してくれません。

そう、インド人の彼は納品1週間前に、仕事を放棄して逃げたのです。前金を持ち逃げして!

違約金で300万円の損失

担当者は100回ぐらいメール、チャット、skypeで懇願しました。何とか業務を継続して欲しい、せめて途中までの作業データだけでも渡して欲しい、と。それでも、インド人からは一切返答はありませんでした。

あせったA社は、あわてて国内の開発会社に再開発を依頼し、何とかモノは作り上げました。高い開発費と特急料金を支払ってです。それでも納期には完全に間に合わず、大手メーカーと広告代理店からこっぴどくしかられ、挙句、イベントの目玉にしていたアプリを使ったPRが出来ず、大きな機会損失として損害金まで請求してくる始末。300万円を失ってしまいました。

クラウドソーシングの匿名性の罠

A社はその後もなんとかインド人と連絡を試みますが、全く応答なし。連絡先もメールアドレスとskypeしか知らないため、訴訟を起こそうにも具体的なアクションに移せません。顧問弁護士に相談するも「インドの身元不明人を相手じゃねえ・・・あたしインド語よう知らんし」と完全にお手上げ万歳状態でした。

それでもskypeのオンライン上にはちょくちょく現れるインド人。こちらからの着信には気づいているはずで、明らかにシカトしているのがまた腹立たしいのです。しばらく経ったある日、一度だけskypeがつながったことがありました。間違って出てしまった様で、すぐに回線を切られてしまいましたが、A社の担当者はつたない英語を駆使して何とか一言云ってやったそうです。

「ファファファ、ファッキュー!!」

これじゃ負け犬の遠吠えです。もう悲しくて仕方がありません。

対処法

クラウドソーシングの利用者にモラルは無い、を前提として厳しく付き合う事が大事です。異国のインド人相手ならなおさらです。インド人嘘つきまくりです。

違約金を含めた契約事項の締結も必須です。間違ってもメールやskypeで軽い気持ちで仕事を依頼しないこと。半金前払いは持ち逃げされるリスクがあるので、よほどの信頼関係が構築されるまでは絶対にやめましょう。

金額の話の中で、前払いを表す英語「pay in advance」「pay up fron」といったワードが出てきたら要注意です!

それでも騙されてしまったら、どうすれば良いか?いざという時のために英語や国際法に詳しい弁護士の友達を作っておきましょう。