「企業は人なり」とは言い得たもので、それはブラック企業にもあてはまります。
企業がブラックだから人もブラックになるのか?またはその逆で、ブラックなダメ人間がブラック企業を作るのか?
いずれにしても、ダメな会社にはかなりの高い確率でダメな上司、ダメな部下、ダメな同僚が揃うことになります。
今回は私が今まで渡り歩いてきたブラック企業の、名物とも言える超ブラックな人材を紹介します。
会社でカレーを作るブラックカレー社員
TVCMや映画などの映像を作る制作会社に勤務していた時の話です。
クライアントとの折衝や予算管理を行う役割の、プロデューサーと称する人がいたのですが、その方がまあ仕事をしない。
日に2、3本の電話をかける事があれば良い方で、大抵は1日中ネットを見て定時に帰宅します。ブラック企業ですから他の社員は皆終電や朝帰りが当たり前の中で。
でも社長の友達だか知り合いみたいで、誰も文句を言わないし、クビにもならない。
そんな彼のブラックっぷりはちょっとスパイスが効いています。
彼の仕事中の口癖は
「よーし!カレー作っか!」
です。決して「仕事するか!」ではありません。
仕事中にカレー?
この会社はマンションのワンルームをそのまま事務所にしていて、キッチンや冷蔵庫など備わっているので、確かに料理を作れる環境です。
また、最近では社員の健康を考えたり、社内の風通しを良くするために、昼休みにみんなで昼食を作って食べたりしている会社もあります。
しかし、このカレー社員はそんな理由はなくて、ただ単に自分がカレーを作りたいから作るのです!
しかも昼休みの1時間で簡単にではなく、1日かけて本格的に作ります。玉ねぎを飴色になるまで炒め、スパイスは独自配合、ルーも小麦粉を炒め1から作り、肉は国産ブランド牛のスジ肉をコトコト煮込んで作ります。
myカレー鍋とmy包丁持参で、食材費はもちろん会社の経費で。
手の込んだ趣味か!!
会社で仕事中に趣味で1日中カレーを作る社員。なかなかブラックですねー。
職場カレーの弊害
狭いマンションのワンルームでカレーを作るので、カレー臭と換気扇の音、鍋包丁のガチャガチャした音が部屋中に充満します。
会議をしていようが、商談の電話をしようが、彼はカレーを作るので、うるさくて臭くて仕事になりませんよね。
弊害はまだあります。やはり現場の指揮が下がるんです。納期間際の繁忙時期に、何も仕事しないでカレーばかり作られてもねー。
ここぞという時の差し入れはありがたいのですが、仕事サボってのカレー作りは大いに反感を買います。
仕事中?でも美味しいでしょ?
迷惑だろうが、作ってしまったカレーはみんなに振る舞われ食べられます。
その制作会社はスタッフの入れ替わりが激しく、常に若い新人くんが溢れています。みんな食欲旺盛で金もないので、手作り本格カレーを美味しい美味しいと喜んで食べます。まあ、味は確かに美味しかったです。
でも、仕事中にそうしょっちゅう(大体週1〜2ペースで!)カレーを作られても迷惑です。当時、制作現場のディレクターだった私は、何度か彼に注意しました。
「カレーばかり作ってないでたまには仕事しなさいな」と。
その時のカレー社員の言い分はこうです。
「だってみんな美味しい美味しいって食ってんじゃん!喜んでんじゃん!」
美味しいが嬉しいって、食堂のおばちゃんか!?あんたには他にやるべき仕事が山ほどあるだろー!
ブラックカレー社員のせいなのかは知りませんが、この会社はほどなく倒産しました。